Monday 2 February 2009

vol.205 連載 【story in the song】星屑の停留所 第3話




story in the songのコーナーは歌からインスピレーションを受けた物語を書いていきます


第1話


第3話



バスは夜空を高く上がった。

パッパー

キツネはまた2回クラクションを鳴らすと流れ星を上手によけてみせた。
下を見下ろせば月の光に輝く家の屋根が、
星のように光っている。
空と地上が逆転したみたいに。
すると、バスはがたがた揺れ出して前がみえなくなった。

「ここはひつじ高原。ひつじのため息が雲になるんだ。」

いきなりぱっと雲が晴れて、
白いひつじがぽつぽつと遠くに見えた。
すると、
遠くにある雲の海の中を泳ぐくじらの群れがいた。

「あぁ、あそこはくじら谷。やつらが雨を降らしているんだよ。」

くじらが潮をふくたびに、キラキラと水しぶきが光った
キツネは興味なさそうにしたけれど、
女の子の輝く顔を見て、バスを谷の近くまで走らせることにした。
バスは少し揺られて急浮上すると、窓ガラスに雨が強くたたきつけられた。

「この分じゃ、ぞうの丘も近いかも。ぞうはあの長い鼻で風を吹かせているんだよ。」

風で流されてきた流れ星が窓をかすめた。
ぞうの姿は見えないけれど、風はかなり強かった。
「こんなに素敵なバスなのに。お客さんなぜいないのかしら?」
思わず女の子は窓の外にくぎづけになりながらキツネに聞いた。
キツネはていねいに流れ星をよけながら、何も答えなかった。
だけど風が収まったころ、

「ずっと昔、君が乗ったバス停から男の子を乗せたことがあるんだ。」

と話はじめた。


つづく




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