Wednesday 28 January 2009

vol.202 連載 【story in the song】星屑の停留所 第2話

story in the songのコーナーは、歌からインスピレーションをうけた物語を書いていきます。



第1話


第2話




静かな夜に、


ボーン


屋根裏部屋の柱時計が1回鳴った。
(やっぱり今日だ!)
壊れているはずの時計がまた鳴ったのだ。
息をのんでベッドからおりると
床のつめたい感触がさらにドキドキさせた。
その時、カーテンの隙間から一瞬光が差し込み、
そのあとにまた、窓の外に大きな黒い影。
と同時に、


パッパー


車のクラクションの音。
「お客さん、乗るの乗らないの?どっち?」
甲高い声がした。




おそるおそるカーテンを開けると、そこには鋼色のバス。
運転席からは白キツネの運転手が顔をのぞかせていた。
「最近じゃぁ、お客なんてめずらしいよ。そこの時刻表をみてごらん。」
気づいたら窓枠のところに、一枚の紙きれが貼ってある。
真夜中の12時にひとつだけ、星の印が書かれている。
「昔、このバスはいつも満員だったんだ。何回まわっても足りないくらい。それが今じゃ、月の明るい夜に一便だけ。それに、お客が君だけだって?」
キツネの運転手はくくく、と笑ったけれど、
どこか淋しそうだった。


「私乗るわ。こんなチャンスないもの。」
女の子は目を輝かせた。
ドキドキはワクワクに変わっていた。
自分の部屋の窓の外にバスが止まっているなんて!
「そうかい。それじゃ、早く乗ってくれ。」
「でも、どうして私だけなの?」
キツネは前を向いたまま一瞬だまって、
かわりにパッパーとクラクションを2回鳴らした。
そして小さな声で、
「そのうち君にもわかるさ。」
とつぶやいた。


「じゃあ、出発するよ。だけどひとつ守ってほしいことがあるんだ。」
「なぁに?」
「このバスのことは誰にも言っちゃいけないよ。」
「うん!約束する!」


キツネが一瞬とてもうれしそうな顔をしたのを、
女の子は気づかなかった。




つづく






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