Sunday 9 November 2014

vol.720 【コラム】羽生 結弦を止める人はいなかったのか

競技開始前の直前練習で、日本の羽生選手と中国のエン・カン選手がぶつかった。
昨日のフィギュアスケート中国GPでの出来事だ。
もちろんその状況は、テレビの生中継で全世界へ伝えられ、
すぐ立って自力でリンクサイドへ移動したエン・カン選手とは対照的に、
羽生選手はしばらく冷たい氷の上に上向きに倒れたまま動けないでいた。

なかなかこない救護班。
直前練習だからと、スタンバイしていなかったのか、

生中継の画面には、緊迫した空気が流れていた。

そして、
「救護がやっと来ました。」
アナウンサーの安堵の声と共に映し出された彼らの手には担架すらない。
二人とも脳震盪なのは明らか。
果たして、なぜプロが集まる場ですぐに「救護のプロ」が駆けつけなかったのか。
(小声:申し訳ないけど、現場が日本だったらどうだったか、まで考えてしまった。)

そして、さらにびっくりすることにその後、エン・カン選手も羽生選手も、
棄権せず、出場することとなった。

(…嘘でしょ…)
テレビの前で私は固まった。

少なくともフィギュアよりは色々知っているサッカーの世界では、
そのまま救急車で病院に直行して即精密検査のレベルだからだ。

数分前に脳震盪を起こしてしかも流血までしている選手が、
普通でも脳に影響を与える動きをするなんて!

「感動する」とか、「よくがんばった!」の前に
私はすでに引いていて、羽生選手の演技も見ていられなかった。
それに、解説席にいた松岡修造さんは、自分の立場がなかったら真っ先に止めに行っていただろう。
(元プロアスリートの彼は、がんばりは賞賛するも「棄権してほしいですねこれは。」とはっきり言っていた。)

羽生選手とエン・カン選手の出場を止めるプロフェッショナルはいなかったのか。
それとも、実は出ても差し支えない程度だったのか。
真相はわからないけれど。

サッカーとは違う個人戦の中で、選手の想いは相当強いものがあるとしても、
果たしてそこに冷静な判断が出来る「プロフェッショナル」がいたのかどうか、
が一番気になる。
選手を責めるのは、まったくお門違いだと思う。

とにかく、羽生選手、エンカン選手が今後何事もありませんように。
それを祈るのみだ。

Saturday 1 November 2014

vol.719 東京ブルターニュ

曇っていて、ひんやり寒いけれど、
湿った空気が心地いい土曜日。
東京在住のフランス人の友達が

「今日の東京はブルターニュみたいだ。」

とメールをくれたのを思い出した。

今日もそんな日。
嫌いじゃない。