Tuesday 1 July 2008

vol.100 【コラム】 from UNDER WORLD vol.3 中国四川省地震~Sichuan earthquake


<バックナンバー>




*写真は北京のクラブのキャンギャル



北京オリンピックを目前に控えている最中、チベット弾圧で世界中からバッシングをうけた中国。

聖火リレーを迎え、それがヒートアップし世界中で波紋を広げる中、北京の南西、四川省を大地震が襲った。アメリカの女優シャロン・ストーンが「あの地震はチベットを苦しめている中国への報いだった」
と発言して世界中から大ブーイングや、静かな同意を受けた。ちょうどステレオタイプの「中国人」が一人歩きしている頃だった。

万単位で犠牲者が増え続ける中、10万人を超えたところで「把握不可能」という色が濃くなった。もちろんいまだに行方不明者も把握しきれていない。ここ日本では、もう大地震は他人事ではない。


世界からの寄付やボランティアが四川省に向けて集まり始めた頃、暗黙の了解のごとく「いったん休戦」の空気が各国に流れ、違う目となって世界の注目を集めていた。災害の中での奇跡の出来事や、感動話が伝えられるにつれ、ステレオタイプの「中国人」に翻弄されていた人々は目が覚めたように感じたはずだ。


「なんだ。みんな一緒じゃないか。」と。


ある母親は、被災し亡くなった父親の死を隠すため、北京で受験直前だった娘に父親のふりをしてメールを送り続けていた。

ある教師は3人の子供を石の柱から守り、息絶えていた。

あるホームレスは8年間でためたお金をボランティアに寄付しに被災地までやってきた。


自己中、騒がしい、攻撃的、冷酷。
それだけが中国人か?全員がチベットを占領するべきだと思っているわけではないのだ。
でもそうではないのなら、真っ先に愛国心を掲げるより政府に向けて訴えるべきではないだろうか。と思えてならない。

この大地震によって皮肉にも沈静化したバッシングのせいで北京オリンピックは思ったよりも厳粛なムードで開会式を迎えそうだ。
ただ、この大都市北京には、この大地震をお金に変えようと必死で動き回っている人間も数多くいる。外国人の膝の上ではしゃぐ黒髪の女たちがいる。観光客相手に忍び寄る薬の売人がいる。世界がどんなに追悼の念を送ってもこの都市にはびこる成金願望の人間には関係ないらしい。

アメリカのドキュメンタリーが潜入した北京のクラブで踊る金持ちの娘であろう女はだっさい金髪男と踊りながらこんなことを言っていた。


「中国もいろいろあったけど、みんながもっとHAPPYになればいいと思うわ!HAPPYになるのは簡単よ。」 


今ではパリス・ヒルトンもこんなこと言わない。

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