Tuesday 22 April 2008

vol.73 【コラム】 from UNDER WORLD vol.2 上海ドリーム~Shanghai dreamin'



林浩文氏のルポの話では、北京のUNDER WORLDでは文化が崩壊し、OVER WORLDとは別世界と化しているという話だった。「ちょっと前の東京みたい。」と感じながら、その時私はぼんやり去年の上海の友達を訪ねていったことを思い出していた。

「みんな上海ドリームを掴もうと必死なのよ。」

オーダーしたのグラス一杯900円の赤ワイン。そこは上海市内の多国人種が集うモロッコ風のバー、物価は世界標準だ。もちろん私たちも「Japanese」としてカウントされているのだけど。
「ね、みてあの角のカップル。」
上海在住の友達は続けた。
「たぶんあの女のコは、半年くらい前まではこんな世界知らないのよ。」
私たちの視線の先には黒髪の綺麗な中国人の女の子と冴えない白人男がいた。

私たちは顔を見合わせて「あの男ビミョー!!!」「なんか戦争時代みたいじゃない?」と思わず洩らした。もちろんそこにはgive and takeのビジネスが成り立っているから何も言えないけれど。

我が物顔で女の肩を抱きながら高いお酒を注文しているのは、本国ではモテないであろう白人男と中国人の成金のおっさんである。 そこには、危険なバブルの匂いがしていた。元々中国が持つ”劣等感”がぐるぐると渦を巻いていたのである。 

次に行った上海イチのクラブでは、オシャレな中国人の女の子がたくさんいた。きっと親は富裕層で彼女たちのほとんどが帰国子女である。ニコニコしながら「その服どこで買ったの?なんてブランド?」と英語で話しかけてくる。PUSSY CAT DOLLSのBOTTUNSがかかり、セクシーなGO GO DANCERが出てくる。東京とNYとも変わらない。もちろんDJはアメリカ人で無名でもまるでゲストDJでも来たかような盛り上がりだ。私はいきなりバーカウンターの近くで「*△$#Φди!!!」と成金じじいに話かけられてかなり強引に腕を掴まれた。ボーイがやってきて、「VIPルームへこい、といってる。」と中国なまりの日本語で言われた。


かちん、ときた私は、おやじにむかって「さわんじゃねーよ気持ちわりぃんだよ!!!」(失礼)と怒鳴って腕をふりはらおうとしてもかなりの強力。ボーイがなんとかしてくれて、助かったもの、成金組の”すべてが手に入る”という勘違いは恐ろしいものがある。
それは、下級層から一気にのし上がってきただけあり、品性が伴ってない。

大陸内部から上海駅に、上海ドリームを夢見た人民を乗せて列車が到着する。彼らは、何かをお金にビジネスにしようと必死だ。あの”鳥の巣”と呼ばれる北京オリンピックのスタジアムの一部が、全米を、いや世界を恐怖のどん底におとしいれた911(ナインワンワン)、ニューヨーク同時多発テロの残骸から出来ているのをご存知だろうか?グランドゼロに残された貿易センタービルの残骸は、颯爽と中国企業に買い取られ、それがお金に変わったのである。

そういえば、北京オリンピックとチベット弾圧を取り巻く世界の混乱もアイスランドの歌姫ビョークがこの夢の大都市、上海で放った叫びからはじまった。

【vol.3につづく】

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