Wednesday 21 March 2012

vol.581地下鉄で天使に会った日

1年前の今頃のある寒い日、私は地下鉄に乗っていてある駅で降りた。
電車のドアが閉まる時、窓ごしに誰かが大きく手を振っていた。

「あ!」

ドアが閉まって発車。
手を振る人の手には、見覚えあるカギが握られてた。
やさしそうなおばさん。
あわてて手をあげて、カギを振っている。
私は電車と平行してちょっと走りながら

(次の駅で降りて、待ってて下さい!)

という祈りを込めて、進行方向を思いっきり指差した。
電車は行ってしまった。

その意思が伝わったかはわからないけど
私は次に来る電車に同じ場所から乗って、同じ場所にその人がいてくれるかにかけてみた。

電車が次の駅で止まろうとすると、
カギを持ったおばさんがすごく心配そうな顔で
電車を見て私を探していた。


「私です!!!!ご迷惑おかけしました!」


おばさんは笑顔になって、
「よかった!」と言って、カギを渡すと私が乗ってきた電車に乗った。

私は深く頭を下げた。

実はこのおばさんは、
耳の不自由な娘さんと電車に乗っていた。
私の前に立っていて、
娘さんに手話と口を大きく動かして、話していた。

私が降りた後シートに落ちたカギを見つけて
知らせてくれたんだと思う。

娘さんは20代くらいで、ホームでカギが私に渡った時、
ポンっと私の肩をたたいて(よかったね!)と言った気がした。

頭を下げて顔を上げると、
ふたりは電車の中で笑顔で話していた。

(お母さん、カギ渡せてよかったね。)

そんな会話をしている気がした。

意思の疎通が瞬時にできて、私がカギを失くさずにすんだのは
このおばさんのコミュニケーション能力のおかげ。

耳の不自由な娘さんをいろいろわかろうと
心と目と耳を研ぎ澄ましてきた人なんじゃないか、と。

私はすごいラッキーだった。

と、今日ぼんやり地下鉄の中で思い出してた。

thanks my angel<3

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